日商PC検定について

日商検定

前回、MOS試験についての情報でしたので、今回は「日商PC検定」についてです。

「日商PC検定」とは、日本商工会議所が実施する検定資格で、パソコンスキルやネットワークを活用した事務処理能力を測定するための検定です。

検定には、ビジネス文書の作成技術、取り扱いが問われる「文書作成」(Word)、業務データの活用、取り扱いが問われる「データ活用」(Excel)、目的に沿った適切なプレゼン資料を作成できるかが問われる「プレゼン資料作成」(Powerpoint)の3つがあります。

これらの検定は、商工会議所が行っている検定ということもあり、多くの企業や教育機関から高い評価を受けている資格でもあります。

受験級は、Basicから1級まで4段階に分かれていて、ステップバイステップで実力を向上できるようになっています。受験級の基準・レベルは以下の通りです。

レベル 基準
1級 企業実務に必要とされる実践的なIT・ネットワークの知識、スキルを有し、ネット社会のビジネススタイルを踏まえ、企業責任者(企業責任者を補佐する者)として、経営判断や意思決定を行う(助言する)過程で利活用することができる。
2級 企業実務に必要とされる実践的なIT・ネットワークの知識、スキルを有し、部門責任者(部門責任者を補佐する者)として、業務の効率・円滑化、業績向上を図るうえで利活用することができる。
3級 企業実務に必要とされる基本的なIT・ネットワークの知識、スキルを有し、自己の業務に利活用することができる。
Basic 基本的なワープロソフトや表計算ソフトの操作スキルを有し、企業実務に対応することができる。

また、試験の方法は以下のようになっています。

試験科目 試験時間 合格基準
1級 知識 30分(論述式) 知識・実技ともに70点以上
実技 60分
2級 知識 15分(択一式)
実技 40分
3級 知識 15分(択一式)
実技 30分
Basic 実技 30分 70点以上

 

と、ここまでは検定の公式サイトにも書かれていることばかり。ここからは私の主観でお話しいたします。

この検定に関して注目すべきは、まず試験科目に「知識科目」が含まれていることです(Basicは実技だけですが)。

MOSなどの検定が純粋にソフトの操作知識を問う課題なのに対して、日商PC検定はビジネス現場での実務スキルによりフォーカスした検定だということが言えます。

もう1つ、MOSの資格がWord 2013とか、PowerPoint 2016とか、アプリケーションのバージョンによって細かく分けられているのに対し、日商の方はあくまでも「文書作成」とか「データ活用」であって、それに使用する事務ソフトのバージョンは何を使ってもよいのです。

つまり、事務ソフトの操作知識よりも、事務ソフトをいかに利用・活用して求められる成果物を作ることができるかという結果重視の資格試験と言えるでしょう。

 

では、それぞれの級の難易度はどのくらいでしょうか?こちらの表は、平成28年の日商PC検定の受験者と合格者の数および合格率です。

受験者数(名) 合格者数(名) 合格率(%)
1級 64 26 33.3
2級 6,296 4,029 64.0
3級 20,110 16,100 80.1
Basic 5,156 4,361 84.1

毎年3万人強が受験し、3級の合格率は75%~80%。2級や1級になるとさらに合格率が低くなり、それぞれ60~70%、30~35%となっています。最も下位のBasicでも約85%の合格率と、6~7人に1人が不合格となっているようです。

 

MOSの方は受験者数や合格者数などを公表していませんが、試験で問われる事務ソフトの操作知識が幅広い一方で、しっかりと試験の準備をして臨みさえすれば、合格はさほど難しい検定ではありません。独学で試験に臨む方々はわかりませんが、少なくともMOSの対策講座をしている教室の多くが、その教室での合格率を95%~100%と言っていることからもわかります。

 

一方、日商PC検定である程度安定的に不合格者が出ているというのは、先にも述べたように、日商がパソコンの操作方法よりも、その活用方法やビジネス現場での知識やスキルを問う検定だからだと思います。パソコンの知識を身につけるだけでは即合格とならず、それをいかに活用して必要な仕事をこなすかが求められるという点が、企業をはじめとして社会的にこの検定が評価を得ているポイントなのでしょう。

 

ちなみに、私の主観では、「日商Basic→MOSスペシャリスト→日商3級→MOSエキスパート→日商2級→日商1級」というのが、2つの試験の難易度の順かなと思っています。

 

事務ソフトMicrosoft Officeの特定のバージョンでの操作知識を問うMOS、事務ソフトの活用スキルを問う日商PC検定。いずれも知名度が高く、企業側の視点では信頼されている資格だと思いますが、どちらの知識・スキルをより高く評価するかは、企業によって異なってくるでしょう。公表されているMOSの祖受験者数を考えると、受験者数はMOSの方が多いのは確かだと思いますが、個別のソフトの知識よりもそれの活用能力を重視するという企業は決して少なくないと思います。履歴書に書けさえすればいいという姿勢ではなく、それぞれの資格がどのような自己アピールになるのかをきちんと把握しておくべきでしょう。

 

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